【PR】当ページは広告が含まれています。カードローンは家族に内緒で契約することができる特徴があり、私の肌感覚でも8割以上の利用者が家族に利用を内緒にしています。

では、カードローン利用を内緒にしたまま本人が亡くなってしまったら?

中には家族に利用を話している人もいますが、多くの場合、返済が滞って金融機関から連絡が来て借り入れの事実を知るケースが多いです。

民法上の規定では財産、例えば預貯金や不動産などのプラスの財産、負債と呼ばれる借金いわゆるマイナス資産も相続人が相続する義務が生じます。

しかし『勝手に契約しておいて、本人が亡くなったら支払えと言うのも都合がいいんじゃないか?本当に債務はあったのか?』と思う人もいるかもしれません。

このような場合のケースなどを私の経験からお話していきます。場合によっては債務がなくなるケースもあるので最後までお付き合いいただけると幸いです。

利用者死亡時は負債も相続の対象になる

初めに残念なことですが、負債も相続の対象になります。これは民法で定められていて、内緒で契約できるカードローンも本人の負債なので相続人は債務を引き受ける義務があります。

反対に相続人が知らなかった株券や有価証券などの遺産も相続する必要があるので、財産も負債も同じ性質を持っていると考えることができます。

もし、相続がややこしい場合は、弁護士などの専門家に相談して財産を相続をするのか、放棄するのか選択する必要があります。

相続人になったことを知った日から(カードローンの場合は債務があることを知った日)3か月以内に、相続することを決めるか、もしくは相続人全員で家庭裁判所に申し立てをして債務を放棄することもできます。

債権を放棄することを限定承認と言います。限定承認をすると相続する資産の範囲内で負債も引き継ぐことになるのでマイナスになることはありません。

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私は業務上で1回だけ限定承認を見たことがあります。遺族から弁護士経由で限定承認をしたという通知が届きたことがあります。ただしこれはレアケースと言えます。

ほとんどの方は、カードローン利用の事実を知らされたことに慌てるか、怒るかのどちらかで、まずは話を聞きたいと店頭に来店されるケースが多かったです。

住宅ローンには団体信用生命保険がある

話は逸れますが、住宅ローンの話をします。住宅ローンは長期ローンで25年以上時間をかけて返済していくローンです。いくら日本人の平均寿命が上がったとは言え、25年後のことはわかりません。

そこで住宅ローンには団体信用生命保険というものが使われています。(以下、団信と呼びます)契約者本人が亡くなった場合に保険会社が残金を支払ってくれる保険です。

もし、団信がカードローンにもあれば遺族に支払いのことで負担をかけることもありませんし、個人的には団信はあった方が良いと考えています。

2010年頃まではカードローンにも団信があった

2010年頃までカードローンも団信を採用していた実は2010年頃まで消費者金融のカードローンにも団信がありました。保険料は消費者金融が払っていたので利用者に金銭的な負担はありませんでした。

契約者本人が亡くなったことを貸金業者が知った時点で住民票を確認して、死亡の確認が取れたら保険の申請をしていました。

遺族が故人のカードローン利用を知っている場合、入金を続けてしまうこともあったので、連絡を取って『債務はなくなりました。ご心配おかけしました。』という電話連絡を行って処理は終了。後は保険会社に連絡をして担当部署に引き継ぎをしていました。

しかし、2010年頃に世間を騒がしていた問題がありました。多重債務者問題です。

借金が原因で死で精算する人がいたり、悪い業者も『死んで支払えや!』と悪態をついたり、ミナミの帝王というマンガの描写も問題となり、民主党が主体となってカードローンの団信を禁止する法案が可決しました。

借金を命で支払うのは間違っている』という主張です。これが今の改正貸金業法の原型になり、貸金業者は団信を保険会社と契約できなくなり、契約者本人が死亡後、遺族が負債を相続するようになったのです。

借金の清算を命でするのは間違っている、確かに言っていることは正しいと思います。しかし、法律で束縛するのは負の側面もあり、現行私たちは、契約者が亡くなった場合、借金を相続する必要が出てきたのです。

このような事情がありカードローンの負債は相続される。これが原則になっています。

一部の銀行カードローンでは、団信契約をしている場合があります。もし故人のカードローン利用を知っている場合、問い合わせてみると良いでしょう。

それぞれのカードローン会社によって対応が違う

カードローン会社によって死亡したときの対応は違う消費者金融やクレジットカード会社は法律(貸金業法)で団信を利用してはいけなくなったので、現在は残債務を遺族が相続する必要が出てきました。

もう少し話は逸れますが、消費者金融は100%株式会社です。中には完全子会社になっている会社もありますが、基本的には株主がいて、株主総会が行わていますし、IRによる決算も公開されています。

例えば、ものすごく優しい会社があって『負債を遺族に残してしまうのは忍びない。全額当社が負担して債務ゼロにしよう!』と考えるカードローン会社があるとします。

決算書には損金の中に負担した債務の金額が載りますし、株主から質問があれば損金の回答をする必要があります。

利用者が亡くなったので、当社は遺族に負担をかけないために損金として扱っています』と回答しようものなら『ふざけるな!相続させろ!』と言うのが株主なんです。

株主はカードローン会社が好きで株を買っているわけではなく、利益の出る会社の株を買って利益を出したいと考えていますし、優しい会社よりも利益を出す会社であって欲しいと考えているからです。

このような状況から、契約者が死亡した時は債務は当社が全額負担しますと規約などに残せないようになっています。

では、本題の債務がなくなるケースはあるのか?という説明をしていきます。

私が行っていた対応

どんな会社にもマニュアルがあり、オペレーターや社員はマニュアルに沿って業務を行っています。

死亡の事実を知るのは、多くの場合、返済が滞り判明します。延滞連絡をしたときに、亡くなったという話を聞いて住民票を申請します。

また、遺品を整理していたらカードが見つかり、問い合わせをしてきて、死亡の事実を知ることもあります。

本来、他人の住民票は取得できませんが、お金を貸している債権者は一定の条件をクリアすれば住民票が取得できるようになっています。

本人の居住する市区町村役場に契約書のコピー(貸付金額などはマーキングする)を同封して申請書を送ります。債権保全のためと記載して理由を書いた用紙も同封すると住民票が取得できるようになっています。

住民票は本当によくできた制度になっています。人が死亡すると必ず火葬します。(一部土葬の地域はありますが、その点は考えません)

火葬するときに必ず火葬許可書というものが必要になります。火葬許可書は市区町村役場だけが発行できますが、死亡診断書を受け付けて住民票は除票(死亡)という記載がされます。

葬儀業者は火葬許可証を取得して告別式後に火葬しますので、死亡の事実が住民票から漏れるということはありません。

このことから、契約者が死亡したという話を聞いたときはマニュアルで住民票を取得して事実確認をするということになっています。

死亡の事実を確認したら?

遺族に連絡をしないといけないのですが、イヤな業務の1つでした。初めは社名を言って電話をするんですが『何の用ですか?』と序盤からそっけないことはもちろんのこと、故人が契約していた事実と、遺族は支払う義務があるという事実を説明すると、だいたい怒ります。

そもそも、借り入れの事実を知らなかった場合もあるでしょうが、だいたい怒られます。

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私が悪いんじゃないのに・・・

そもそもカードローンの特性かもしれません。内緒で契約できるので本人がボロを出さなければ、いつまでも内緒にできますし、死亡後に利用が判明すれば、まるで本人の利用がバレたごとく怒りの矛先が貸金業者に向けられることは多いのかもしれません。

あまりにも怒っているので話にならないこともあり『改めて連絡します』と言っても『ふざけるな!2度と電話してくるな!絶対払わないからな!』と言われることも多く、2度目の電話は本当に心が折れたものです。

解決策

全てのカードローン会社に共通していることではありませんが、遺族に支払う意思がない場合、債務を消滅させていました。つまり怒り得というやつです

遺族に支払う義務があって、残金は支払いますという申し出があった場合はそのまま支払いをしてもらいましたが、上記のように怒られてしまうと平和的な解決は難しくカードローン会社側が泣き寝入りをする形です。

また、泣き落とされることもありました。女性に多かったのですが『そんなことを突然言われても納得できないし、支払える余裕なんてない』この場合も債務消滅させてきました。

民法上では負の遺産も相続されます。カードローン会社も本気を出せば戸籍謄本を取得して、相続人を割り出し、相続人全員に通知を出せば済む問題ですが、表だってこのような対応をすると世論が黙っていないだろうと考えます。

ただでさえ、煙たがれることが多いので、できるだけ平和的に解決したいと考える会社が多いのです。

繰り返しますが、全てのカードローン会社やクレジット会社がこのような対応をしている訳ではありません。

大手で資金力があればこそできる対応方法だと思いますし、街金のような中小消費者金融で契約している場合、問答無用で遺族に請求してくるケースもあるでしょう。

もし、故人の借り入れにお困りの方がいたら、まずは債務を否認してみるか、支払う意思がないことを伝えてみてはいかがでしょうか?

必ず上手くいくとは限りませんが、場合によっては債務が消滅する可能性があるかもしれません。

最後に、怒り得という話をしましたが、債権がどのように扱われるのかカードローン会社やクレジットカード会社に確認することが重要です。相手方が債権は消滅しますとか、当社が負担しますという言葉が出ればいいですが『支払う気がないのですね。わかりました。』と言って債権譲渡をしたら、それもそれで厄介です。

立ち回りが必要になりますが、自分の意思を伝えることが必要ですね。

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どうにもならない場合は、冒頭でお伝えした限定承認という方法も有効的です。

冠婚葬祭に取り立てが来ることはないのでご安心ください

私は大手消費者金融に勤務をしていましたが、ナニワ金融道というマンガを読んでいたら気になるくだりがあったので共有しておきます。

【出典:ナニワ金融道】

ストーリーは債務者が死亡したので、連帯保証人に取り立てに行くかどうかが話し合われてるシーンです。彼らは街金と呼ばれる中小の消費者金融会社です。

貸金業法では、冠婚葬祭時の債権の取り立てを禁止しています。金融庁に報告したら業者側に罰則があります。

記事内の話から少し外れてしまいますが、金融庁が取り立てを禁止している時期がありますので知っておくと良いかもしれません。

取り立て禁止時期
  1. 冠婚葬祭
  2. 夜21時~朝8時までの電話連絡
  3. 突然の勤務先への連絡(希望している場合は除く)
  4. FAXを使った連絡(一部条件あり)
  5. 他人数での訪問
  6. 脅迫的な取り立て

これ以外にも貸金業法は、消費者を保護するための規制を採用しています。不安に感じることや、違和感を感じた場合は金融庁に連絡をしてみるのも良いでしょう。