オーナー商法にはパターンがあった

オーナー商法というものをご存じですか?現物まがい商法とも言われ、商品を購入するものの現物は受け取らず、商品の利回りを受け取る、いわば投資商品です。貴金属や和牛、ゴルフ会員権が対象になることがあります。

運用や運営は運用会社に任せっきりで満期にリターンを受け取るのですが、このような商法は基本詐欺です。

はじめはマジメに商売をしていても、そのうち配当を回せなくなり、新会員からの出資金を既存会員の配当に回し始めて終了するケースがほとんどです。債務超過(資産より支払い金額が多くなる状態)になることは火を見るより明らかで、破産したときに詐欺だとわかるのです。

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問題は初めから詐欺るつもりで出資を集めているのか、はじめはマジメにやっていても資金繰りが悪くなり、決算書を偽造して出資を募ることで詐欺になるのかの違いです。

過去に和牛商法というものがありました。有名なところだと安愚楽あぐら牧場と、ふるさと牧場。調べてみると、和牛詐欺事件と、いま話題になっているジャパンライフの似通った集客方法がわかってきました。(関係者が運営していたんじゃないかってくらい似ています)

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和牛詐欺を理解している人ならジャパンライフには引っかからなかったのではないか?という仮説を立てています。

回避不可能な被害と比べると、詐欺事件は過去に起こった事件を知っておくことで回避できますし、時間を取ってでも知っておくことが重要です。

今回は和牛詐欺とは何だったのか?和牛詐欺から私たちは何を学ぶべきだったのか確認していきましょう。

安愚楽牧場とは何だったのか?

【安愚楽牧場破綻時の社長の会見】

2011年8月に和牛オーナー商法を行っていた安愚楽牧場が経営破綻しました。破綻前から「詐欺ではないか」とか「何かおかしい」という声はあちこちで上がっていたようです。しかし、同時に根強いファンもいたようです。

安愚楽牧場は約7万人の出資者から4,300億円集め、その資産で和牛を購入して販売。子牛を肥育して販売し、その利益を出資者にリターンとして渡すことを約束していた。元金は保証していないものの、過去30年一度も配当が前年を下回ったことがない、年間5%前後の利回りを謳っていたことから人気が高かったようです。

ちなみに日本国内にあるオーナー商法(現物まがい商法とも言う)は軒並み破綻しています。ジャパンライフもオーナー商法でした。安愚楽牧場の規模は日本最大級です。他の破綻した会社と比較してみましょう。

会社名 被害額 被害者数 商材 破綻時期
安愚楽牧場 約4,300億円 約7万人 和牛 2011年
ふるさと牧場 約400億円 約1.5万人 和牛 2008年
豊田商事 約2,000億円 約3万人 ゴールド 1985年
全国八葉物産 約1.500億円 約5万人 栄養補助食品 2002年
ジャパンライフ 2,000億円?? 調査中 磁気治療器 多分今後破綻

現物まがい商法の被害額を表でまとめました。被害者数と被害額を見ても安愚楽牧場がダントツなことがわかります。なぜ安愚楽牧場は人気があったのかと言うと、広告と営業力と交渉力です。

口が上手い社長の謝罪会見を聞くと本当に安愚楽牧場は悪くないのではないか?とも思えてしまいます。

また、安愚楽牧場が資金を集めていた時期は日本は不景気で『銀行に預けるより安愚楽牧場にお金を預けよう』と考える人も多かったようです。

安愚楽牧場の商品

50万円なら3%、100万円なら4%超の利回りになります。投資信託より利回りが良いのではないでしょうか。暗に元金割れのリスクがないことを謳っていますから実際に返金されれば投資信託より安全で高利回りと言えます。

ここには載っていませんが、オーナーには和牛もプレゼントされていました。

安愚楽牧場は30年営業を続けてきましたが、4300億円の債務の8割ほどが出資者へ約束していたリターンでした。これが支払えず破綻してしまいます。

謝罪会見の内容

「ただいまご紹介にあずかりました三ヶ尻久美子でございます。本日はお暑い中、多くの方に遠方からお集りいただき、誠にありがたく、また申し訳なく存じます。既にご通知にてお知らせしましたとおり、牧場は本年8/9に東京地裁に民事再生手続きの申し立てを行いました。今後の民事再生の進め方は弁護士の先生よりご紹介させていただくことにして、私からは関係者各位に多大なご迷惑をおかけすることを、事態を説明するとともに、みなさまに直接お詫び申し上げます」

三ヶ尻社長は冒頭から涙声で本当に申し訳ない気持ちで話している様子が伺えた。

会場からは「詐欺」「カネを返せ!」と野次も飛ぶが「がんばれ」という声も少数であるが聞こえる。

「弊社は1979年栃木県那須町の地元の農家の協力を得て、牛1頭から始めた畜産事業です。以後は地域密着型の畜産経営を行い、全国に14の支店を持つことに成功しました。2009年に創業30周年を迎え新たなスタートとして直営牧場を40か所、契約預託牧場は300を超えました」

30年、実にさまざまなことがありました。弊社は和牛委託オーナー制度の先駆者として、畜産事業をご理解いただいたオーナー様の多大なご支援、ご支持を得ていましたが1995年から類似した和牛委託オーナー制度を有する会社がたくさん出てまいりました。当時、多くのオーナー様から安愚楽はほかと違い、安心して任せられると言われてどれだけ嬉しかったことか分かりません。

しかし弊社も順風満帆ではありませんでした。2001年にはBSEが発生し牛肉が売れなくなり、産地偽装事件お起こり食肉産業は騒然となりました。そして2010年には宮崎県で口蹄疫こうていえきが起こりました。

やっと落ち着いたと思ったら2011年に東日本大震災、事故の影響は深刻で放射線セシウム検出による出荷停止など、日を追うごとに問題が増えてきました。私の力及ばず今回民事再生の申し立てに至ったわけです。
【参考:和牛詐欺 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか】

何も知らなければ、通常の企業の破綻会見のように聞こえます。緻密に準備された原稿は、懸命に営業をしたものの外的要因によって経営が上手くいかなくなったと聞えませんか。

この後弁護士が説明をするのですが、オーナーの牛は実在している。架空契約ではないということを力説。詐欺でないのか?という問いに予め原稿が用意されているようだったと言われています。

安愚楽牧場が人気が高かった理由 さまざまな要因が重なった

安愚楽牧場は外的要因で会員数が増えた

好条件①ライバル会社が勝手に転んだ

当時和牛オーナー商法を行っている会社が15社ほどあったようですが、この時期で安愚楽牧場しか残っておらず、そもそも牧場を持っていなかった詐欺会社や、債務超過に陥って破綻した会社ばかりだったようです。

ライバルが勝手に転んで、安全性をアピールできた形でもありますが、この内容は社長の謝罪会見でも説明されている内容です。安愚楽牧場より高利回りを謳った和牛オーナー会社もあったようですが、そもそも牧場を持っていないなど、詐欺商法の温床でもあったようです。

安愚楽牧場はテレビCMを流したこともあり、実際に営業している牧場として認知されていました。

好条件②日本が不景気に突入した時期に和牛オーナー制度が認知される
冒頭でも伝えましたが、日本が不景気に突入した時代ということもあり銀行の利回りが急激に落ちてきました。銀行に預けるくらいだったら、和牛オーナーになってみようと思う人も多かったようです。すでに数年やっている人が周りにいたら実際に配当は支払われていますから、既存会員が広告塔の役割を果たしてくれていたのでしょう。
好条件③政治家を広告塔に!投資雑誌の露出も多くなった
次に詳しく説明しますが、海江田万里氏が『安全性の高い投資』として紹介したことと、社長と仲良く握手する様子がメディアに取り上げられ、安愚楽牧場投資は元金割れのリスクがないと説明していたようです。
好条件④営業力の強い会社。徹底した社員教育
モノを買うときに店員さんの態度が悪いと気持ちよく買い物はできません。価格が高価であるほど切実に感じるものです。安愚楽牧場は徹底した営業力と広告を打ち、説明会も親切、丁寧だったということです。社長の謝罪会見からも知的さを感じますし、営業のマニュアルでもあれば、素人はイチコロだったのかもしれませんね。
好条件⑤広告宣伝費をフル利用
テレビCMをはじめ、投資雑誌へ広告出稿して大々的に認知度を高めていきました。ネットで和牛の販売をはじめたり、当時としては最先端の営業活動を行っていました。

このような状況もあり、安愚楽牧場を心から応援している人もいたようです。そのため、謝罪会見では一部、応援する声もあったようですね。気を付けたいのは、私たち一般人はプロの詐欺師と口論しても勝てません。安愚楽牧場はマジメに営業をしていると精神に植え付けられてしまうのかもしれません。

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海江田万里氏の安愚楽おすすめ事件

【出典:ANN】

投資は自己責任なので、アナリストが何かを勧めても損害賠償はお門違いですが、海江田万里元代表のような影響力のある人が広告塔になって、安愚楽牧場の安全性を訴えれば高齢者は安心して契約してしまう人は多いのかもしれません。

安愚楽牧場はこの時期、投資雑誌などに広告も出稿していて、不特定多数の投資家を集めていました。

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この部分を見てもジャパンライフと手法が同じだと思いませんか?海江田さんが安倍さんになっただけです。

見て欲しいのが、このツイートです。最近の元内閣総理大臣婦人はユーチューバーと対談したり写真撮るんです。(本人が対談と言っているだけで、どこかの会場で写真を撮っただけかもしれない)

決して有名な人が出てきたからと言って、相手方のビジネスを信頼できるとは限らないのです。

安愚楽牧場の実態はどうだったのか?

公式発表では破綻時に14万5,900頭の和牛を飼育していたようです。私たちはこの数が多いのか少ないのか判断できません。共同通信社の斉藤友彦さんの説明では当時の頭数で日本全体の20%の和牛を所有していた計算になるそうです。

実際は発表された6割前後の牛しかいなかったようです。牛の購入資金は出資者への配当や広告宣伝費に利用されました。

安愚楽牧場は、実態のある畜産業を営んでいて、牧場を運営したので全くの詐欺とは言い切れません。

  1. オーナーのお金を預かり、牛を保有していなかった時点で詐欺か?
  2. 債務超過をごまかし、経営が上手くいっていると思わせ出資させたことが詐欺か?
  3. 税務署に提出している決算書ではなく、偽造した決算書で出資者を錯誤させたことが詐欺か?

結果は、警察も詐欺罪では立件できませんでした。詐欺については不起訴相当でしたが、特定商品預託法違反容疑で実刑、懲役2年6カ月が言い渡されました。

芦沢裁判長は「保有する牛が大幅に不足していると知りながら、会社を維持するため、さらに顧客を獲得しようとした。刑事責任は非常に重い」と指摘。起訴内容を認め、反省の態度を示していることを考慮しても、執行猶予は相当でないと述べた。

刑事罰は受けたものの、安愚楽牧場の債権者集会では、三ヶ尻社長に財産はすでになく出資したお金が返ってくることはありませんでした。

安愚楽牧場事件から私たちは何を学ぶのか?

ここまで素直に読んでみると、当時私が投資に興味あったら和牛オーナーになっていたかもしれないと思いました。

安愚楽牧場が怪しくない理由
  1. 牧場の実態が確認できている
  2. 利回りが高いと言っても4%前後
  3. テレビCMもしている大きな会社
  4. 畜産業(和牛業界)の大手である
  5. 国会議員も宣伝していた 笑

しかし、本当にリスクを考えたら契約書から怪しい感じを読み解くことができたかもしれません。

ファイナンシャルプランナーの藤原久敏氏の「あやしい投資話に乗ってみた」という著書ではこのように書かれています。

1口30万円で年間9,000円の配当。2年後には元金返還。今なら最高肉をプレゼント。某マネー誌にて、こんな魅力的な・・・というか、超低金利の中、あり得ない好条件の広告が掲載されていました。

それは和牛オーナー募集の広告でした。

某マネー誌とは「あるじゃん」投資に偏ったマネー誌が多い中、「あるじゃん」は貯蓄、ローン、保険、税金など、とてもバランスのよい内容で、節約術や家計簿診断コーナーなども充実しており、主に女性に人気の雑誌でした。私自身FPとして情報収集やセミナー資料として大いに利用しており、非常に信頼を置いていた雑誌だったのです。(2012年に廃刊)

ちなみに私が契約した30万円コースだと、子牛の売却予定代金は年間59,000円となっていました。ただ、飼養委託料が年間5万円かかるので、差し引き9,000円を受け取れる。そして、2年後に、最初に購入した繁殖牛を30万円で買い取ってもらいます。そんな予定通りにいくものでしょうか?
【引用:あやしい投資話に乗ってみた 藤原久敏】

藤原さんは面白い方で未公開株を買ってみたり、海外ファンドを買ってみたり、FXをやってみたり、和牛オーナーなってみたり、実際に危ないと言われるものを実際にやってみないと気が済まない人のようです。

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1つ思ったのが、あるじゃん。安愚楽牧場の広告を入れていたから責任取って廃刊になった可能性ありそうですよね?安愚楽破綻の翌年廃刊ですよ。

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この話は続きます。

牛が死んだりしたらどうするのでしょうか?それについては損害賠償してくれるとのこと。ただし、その具体的な方法は、協議の上で決めるとのことでした。

なるほど、一応、諸々のリスクについては触れられています。ただ、その内容を見ると、要は「何かあったら、協議して決めましょうね」と、えらくザックリしたものでした。

そもそも契約書自体がA3用紙1枚のみ。しかも第12条までしかなく、サラッと読めるのはありがたいのですが、「最低限のことしかかいていないな」という印象でした。

少しうがった見方をすれば「つべこべ考えずに、我々に任せなさい」と言っているようでもあります。たしかに最終的には運営牧場を信じるしかありません。我々は牛を育てた経験などないので、牛価格の相場や、死亡、病気等のリスクについてはまったく分からないわけですから。

そして、私は思い切って、安愚楽牧場を信じてみたのです。

さて、安愚楽牧場に申し込んでから、あらためて和牛オーナー制度について、いろいろ調べてみました。順番が逆だろ、という突っ込みはあるかと思いますが、和牛オーナーに憧れ、一刻も早く和牛オーナーになってみたかったのです。

和牛オーナーで検索すると、和牛預託商法。和牛の飼育、繁殖事業に出資を募った上で、出資金を配当に回す自転車操業を行ったり、約束した配当を行わないという詐欺商法の1つで、現物まがい商法の一種である。(ウィキペディア)

これには、「おいおい、和牛オーナーは詐欺なのか?」と大いに不安になりましたが、もはや、安愚楽牧場を信じるしかありません。

「もはや、信じるしかない」と決めていた私は、良い情報だけ受け入れ、悪い情報はシャットアウト。正直言って、そうでもしないと不安で仕方がなかったわけです。

ネット上の情報は、どちらかと言うとマイナス評価が多かったので、しばらくは安愚楽牧場を検索することはありませんでした。
【引用:あやしい投資話に乗ってみた 藤原久敏】

当時から、情報を収集していればリスクのある投資であることを知ることができたのです。しかし安愚楽牧場関係者の話だけを信用したり、広告だけを信用し、高い利回りにつられてだまされた人が全国で7万人いたのです。

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情報収集はやはり大切ということと、何かしら違和感を感じたら立ち止まって考えてみる必要があります。

カードローン1つにしても、契約書の裏にはびっしりと契約事項が書かれていて、それでも足りないから規約を交付していました。(私は消費者金融に勤めていましたが、規約を読み切ったことがありません)契約書ってそういうものです。

裁判が起こったときに、契約事項を決めておくことで会社が不利にならないようにとか、契約書を保護するために書かれているものです。それをA3で13条までしかないのは違和感があって当然です。

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安愚楽牧場の説明が長すぎて、ジャパンライフとの因果関係までたどり着けませんでした・・・

つづく