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債務整理は5つの解決策がある!収入の有無や財産の有無で選択肢が変わる

債務整理の種類

債務整理の種類債務整理には、任意整理、過払い請求、特定調整、個人民事再生、自己破産の5つの解決方法があります

1人ひとり、借入額や収入や資産状況が違うように、債務整理も自分に合った解決策を選択する必要があります。

実際に弁護士や司法書士に相談すれば適切な解決策を提案してもらえますが、この記事では債務整理にどのような種類があるのか事前に確認していきましょう。

頭に予備知識があるだけで、弁護士との相談もスムーズに行くはずです。

目次

具体的に債務整理はどのような方法があるか?

債務整理の手続について簡単に説明します。債務整理は大きく5つに分けられます。

債務整理の種類
  • 任意整理
  • 過払い金請求
  • 特定調停
  • 個人民事再生
  • 自己破産

任意整理や過払い金請求は代理人(弁護士や司法書士)と債権者(消費者金融や銀行)が交渉するのに対して、個人民事再生、自己破産は裁判所が間に入り判決を出す違いがあります。

特定調停も簡易裁判所が間に入りますが、重要なのは当事者間の合意なので、少し意味合いが変わってきます。

個人民事再生や自己破産は少し複雑な要件もあるので、詳しく説明していきます。

任意整理

代理人が債権者と交渉することにより、債務者が今後、生活していく上で、無理なく支払える金額を決定して和解する解決方法です。

和解方法は、将来の利息をゼロにして、元本のみを分割払いにすることが通常です。分割払いの期間は5年間を超えない範囲で設定されることが一般的です。

それ以上の期間になると、債権者側がなかなか了承してくれません。任意整理は、債権者と代理人の交渉で和解案を決定していきます。

過払い金請求

代理人(弁護士や司法書士)に債務整理の依頼をすると、はじめに現在の債務を確認するため、代理人から債権者宛に『〇〇さんの代理人になりました。つきましては取引明細書をいつまでに提出してください』という通知を発送します。

現在の上限金利は貸金業法及び出資法で上限20%に設定されていますが、旧貸金業規制法時は上限金利が29.2%でした。貸金業法が施行されたのは平成22年(2010年)6月18日ですが、これ以前に借り入れがあった場合、旧金利で利用しています。

旧金利で利用があった場合、現在の金利に引き直して計算されるので、上手くいけばお金が戻ってくる可能性があるのが過払い請求です。

過払いになる可能性があるのは、最低でも旧金利時代での取引が5年以上あった場合が多いので、2005年前後から利用している方でないと過払いにならないケースが多いです。

ちなみに、債務整理になるか、過払い請求になるかは代理人が計算してくれるので、お金が戻ってきたら運が良いレベルで考えておいた方が良いでしょう。

最近の債務整理では、過払い金が出るケースは少ないようです。

特定調停

特定調停とは、簡易裁判所に申立てをして、裁判所を通じて債権者と交渉をするものです。今後の支払いのスケジュールの組み直しを行います。

代理人(弁護士や司法書士)に依頼して特定調停が利用されるケースはまずありません

裁判所を通じて交渉するより、直接交渉した方が早いため、代理人が特定調停を利用することは稀です。

特定調停と任意整理の違いは?

弁護士や司法書士は債権者と直接和解交渉できる権利を持っています。特定調整は、裁判所が仲裁役になって債務者と債権者の和解を目指す公的な手続きです。

債務者自身が自力で特定調停を申し立てる方もいますが、私は個人で特定調停を用い債権者と交渉するのはお勧めしません。

なぜかと言うと、特定調停で和解が調った場合、調停調書と呼ばれる示談書のようなものが作成されます。この調停調書がなかなか厄介です。

もし、約束どおり支払うのが遅れたりしたら、給料などの財産を差し押さえられる可能性が出てきます。つまり、裁判に負けたのと同じ状況になります

弁護士は、裁判所を通す必要なく債権者と直接和解交渉ができるので裁判所に行く必要がないのです。

これが弁護士や認定司法書士、司法書士に与えらた権限なのです。特定調停は債権者側から提訴されるケースや、裁判知識のある債務者(借り手)が提訴するものです。

代理人に依頼するより、自分で提訴する方が費用は安上りですが、債権者側は弁護士とも交渉する百戦錬磨なので足元を見てきます。

悪い条件で和解になる可能性もあるので、費用を安くしたいという理由で自力で行うことはおすすめしません。

個人民事再生

個人民事再生は、裁判所に個人再生の申立てをして、裁判所の管理下で再生を計るために行う解決方法です。

自己破産と比較されるケースが多いですが、自己破産との違いは財産を処分されない(差し押さえられない)という点です。

持ち家があるので破産はしたくないけど、債務は免除されたい』このような場合に有効です。

個人民事再生が利用できる条件
  • 借金の総額が5,000万円以下
  • 現在の借金を継続していたら返済不能になる可能性がある
  • 継続して収入を得る見込みがある(会社員が有利)

民事再生の大きな特徴
(1)破産のように免責不許可事由がない。
(2)自宅を残すことができる可能性がある(「住宅資金特別条項」)

個人型民事再生は、総負債額は5分の1に圧縮、若しくは100万円のどちらか高い方まで債務が圧縮されます。圧縮された債務は和解前の比率で債権者に分配されます。

支払い期間は36回(場合によっては60回)で支払い終わる返済計画を立てて、裁判所が容認したら支払いを開始するというイメージです。

個人再生では給料等の定期的収入があることが重要になります。3年間払い続けることができるのかに重点を置いて裁判所は認可決定をするかチェックしています。

自宅を残すことができる可能性がある(「住宅資金特別条項」)」とありますが、これにはいくつかの条件があります。

(ア)住宅ローンの担保に入っている。
(イ)他に消費者金融などの担保に入っていない。

他の債権者に差し押さえられていない場合に自宅を残すことができる可能性があります。

注意点としては、住宅ローンは払い続けなければなりません。住宅ローンは圧縮の対象にもなりません。これを住宅資金特別条項と呼びます。

この免責不許可事由がないことも、住宅資金特別条項の存在もとても重要ですので、これくらいは知っておいても悪くないと思います。

個人再生は、自分が所有する財産の総額より高い金額を支払わなければならない「清算価値基準」など、まだまだ紹介できない程複雑な手続きです。

ここまでの説明で、自分は個人再生が適しているのでは、と思った方は弁護士や司法書士に相談してください。一緒に個人再生が適切か検討してくれるはずです。

自己破産

破産法

自己破産はご存知の方も多いとは思いますが、一般的に抱くイメージにかなり近いと思います。

破産も個人再生と同様に裁判所に申立てをしますが、申立て後に「破産管財人」が裁判所から選ばれて就任し、様々な調査などをして、最終的に「免責」を得ることができれば、債務は原則拘束力をなくします。つまり原則支払う義務がなくなるのです。

原則と書いたのは、例外的に支払義務が消えない債務もあるからです。支払義務が消えない債務のことを「非免責債権」といいます

非免責債権として有名なものとしては以下のようなものがあります。わかりやすいように通称で記載します。
(1)税金
(2)養育費
(3)給料
(4)罰金

もちろん、本来はもっとありますが、問題になることが多いものだけをピックアップしました。

破産できない場合もある

場合によっては破産できないこともあります。破産法にかなり詳細に列挙されているのですが、数も多く内容も難しいので、わかりやすいところと特に重要なところをピックアップして記載します。

(1)財産隠し
(2)偏頗(へんぱ)弁済
(3)浪費、賭博、射幸(しゃこう)行為

イメージをつかむためにかなり単純化しています。

(1)財産隠しについて意味は分かると思います。本来は、所持する財産は換価(現金化)したうえで債権者に配当します。そのため財産隠しをした場合は問題があるということです。

(2)偏頗弁済というのは、偏った弁済という意味です。本来は抵当権等の担保を持っている債権者以外、原則、債権者は自分の持っている債権の価格に比例して、平等に支払いを受けることができるのです。

これを「債権者平等の原則」といいます。それにもかかわらず、1人の債権者だけにこっそり支払いをする、というような行為を偏頗弁済と呼んで免責不許可事由となっています。それは、債権者平等の原則に反するからです。

偏頗弁済はわかりにくいにも関わらずなぜ例に挙げたのか。それは、例えば、友人からの借入れについてだけはこっそり払いたいなどの理由から、ついやってしまいやすい行為だからです。重々注意してください。

(3)浪費、賭博、射幸行為です。射幸行為は、例えば、パチンコや競馬、株、FXといったものです。厳密には、これらをやったから直ちに免責が降りないというわけではありませんが、危険なのでやめておきましょう。

必ずしも、免責不許可事由があったら免責が降りないわけではありません。むしろ、免責不許可事由に1つも当てはまらない方は稀です。

裁判所が「免責不許可事由には多少当てはまるところもあるけど、そこまで酷いことをしたわけではないので、全体的に判断して免責を得させた方がいいから免責を得させましょう」と判断し、免責が降りる場合があります。これを「裁量免責」と呼びます。

裁量免責はその名のとおり、裁判官の裁量でもらえる免責です。

自己破産は同時免責が主流で、破産申し立てと免責を同時に行うことが一般的です。

自分に最適な解決方法なのか考えましょう

結論から言うと一般的な債務整理は任意整理です。任意整理は、利息なしの元金を分割払いで支払っていく解決方法です。

100万円を5年の60回払いに延長してもらえれば、毎月16,000円前後の支払いで済みます。

利息がかからなくなる分、和解後は生活の再生を計りながら、十分支払いを継続することが可能な場合が多いです。

また、債務額が大きく債権額を放棄してもらいたいなら個人再生や自己破産が有効的な場合もあります。

個人再生の場合、債務免除もあり、自宅などの財産は没収されませんが、最低100万円を支払う必要があります。負債が多い場合には良いですが、負債が少ない場合は選択肢から外れます。

自己破産は、債務が少額でも免責される可能性もあります。

債務整理や民事再生は和解後、支払いを継続する必要がありますが、破産に限っては支払い自体がなくなります。

破産は国が定めた、再出発するための権利です。もちろん、お金の貸し借りの約束を破って債務を消失させるのでデメリットはありますが、破産後に人生が良い方向に変わることはあります。

最終的な判断はあなたが自分で決断する必要があります。

どうか、最善の解決方法を選択することを願っています。

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この記事を書いた人

貸金業務取扱主任者。大手消費者金融に15年勤務。当サイト運営者。消費者金融側にいた立場から債務整理を詳しく解説していきます。

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